大事な人が適応障害になったらどうする?~適切な対応と向き合い方~

適応障害というとあまり聞きなれない病名ですが、うつ病や統合失調症と同じように心のバランスが崩れた時になる病気の一つです。ここでは適応障害との向き合い方、実体験に基づく治療方法と家族の歩み方を記載しております。少しでも同じ症状で悩まれている方が救われれば幸いです。



1.適応障害について

適応障害とは、結婚・離婚・妊娠・出産・転勤・部署異動・進学など、環境や生活が変化すること自体にストレスを感じたり、理想と現実のギャップに差があり過ぎて耐えられなくなったり、思い通りにいかなくてイライラしたりする、心の症状です。憂うつな気分になったり落ち込みやすくなるため、涙もろくなったり、過剰に自分を責めたり、神経が過敏になったり、イライラしたりします。さらに酷くなると、育児放棄・家事放棄・無断欠席・喧嘩・自害行為・物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。 もちろん環境や生活が変化しても全く問題なく適応できる人もいます。しかし一方で、同じ環境や生活の変化でもそれが苦痛だと感じて、日常の生活が出来なくなってしまう人もいるのです。真面目で一生懸命な人ほど、思い通りにいかなかったり、理想と現実のギャップに落胆して適応障害になりやすいという説もあります。

適応障害になっている人の割合として、人口の約1%と言われています。日本の総人口が約1億2600万人(H29.5.1時点)と言われていますので約126万人の方が適応障害になっているという計算になります。 さらに適応障害と診断されても、5年後には約40%以上の人がうつ病などの診断名に変更されてしまうそうです。適応障害はうつ病や統合失調症、アルコール依存症などその後のさらに重い病気の前振りの可能性もありますので早期に対応する必要があります。

適応障害の場合、ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から一旦離れると、症状は次第に改善するケースが多いそうです。しかし、子育てや結婚生活、職場環境など、なかかなストレスの原因から離れられない場合は、症状が慢性化することもあります。そういった場合は、カウンセリングを通して、一日でも早くストレスフルな状況に適応する力をつけることも、有効な治療法の一つです。

2.適応障害のサイン・症状

適応障害の代表的な症状として、①精神的・②身体的・③行動的な症状がみられます。①精神的な症状としては、抑うつ気分、不安、怒り、焦り、落ち込みなどがあります。②身体的な症状としては、倦怠感、頭痛、腹痛などがあります。③行動的な症状としては、暴飲暴食、アルコール依存、無断欠席、無謀な運転や喧嘩などの攻撃的な行動がみられることもあります。

※適応障害のタイプ

「適応障害」の症状は多岐にわたりますが、主な症状から下記の5つにタイプ分けされています。

①うつタイプ

絶望・憂鬱・泣く・落ち込む・思考力の低下・感情のコントロールが出来ないなど。いずれの症状も、うつ病ほどひどいものではありませんしストレスの原因さえなければ元気になる一面もあるので気分屋と間違われることも。本人がそういった勘違いをしてるケースもあります。

②不安タイプ

精神が過敏になって、ちょっとしたことに不安になったり、災害、病気、死などを心配しすぎたり、不安から過呼吸や呼吸困難に陥るなどの軽いパニック状態を引き起こすなど。

③うつ+不安タイプ

絶望と不安、落ち込みと不安など、気分の落ち込みが同時に現れ、日常生活に支障をきたすタイプです。

④行動表現タイプ

ストレスのはけ口として、万引き・飲酒運転・薬物等の犯罪的行為や暴力・無断欠席・無断欠勤などの迷惑な行動を伴うタイプです。思春期の年齢で起こしてしまいがちなことを起こしてしまうようなタイプです。

⑤塞ぎ込みタイプ

不登校・ひきこもりなどが主な例。症状が重くうつに近いタイプ。

3.適応障害になりやすいタイプ

適応障害になりやすいタイプの例として以下の傾向があります。

・真面目

・心配性

・頑固

・責任感が強い

・完璧主義

・几帳面

・頼まれると断れない

・気が小さい

・周りの意見を気にする(気にし過ぎる)

・失敗を引きずりやすい

・息抜きが出来ない(上手に出来ない)

周囲の環境で言うと、相談しやすい相手がいなかったり支援してくれる人が近くにいなかったり、孤立した環境であったり、多忙な環境であったりするなど、周囲からのサポートが得られにくい状況の方は適応障害になりやすいと考えられます。

一般的に誰もが感じるようなストレスによって、適応障害になる人もいれば、ならない人もいることから、適応障害になる方の精神的な弱さは否定できません。ストレス経験が不十分だったり、ストレス耐性が弱かったり、ストレスへの対処能力が低かったり、悲観的あるいは未熟な性格だったりすると、ストレスを乗り越えることができずに、心身のストレス反応が強くなって持続したり、逃避的行動が現われたりして、適応障害となることがあります。

4.適応障害の治療について

まず、一番やらなければいけないことは「ストレスの原因を除去する」ことになります。例えば、子育てが原因なら子供を家族や親に預けて一旦離れる、暴力をふるう恋人が原因なら他の人に助けを求める、結婚生活に行き詰ったら一度離れて生活してみる、職場の人間関係が原因なら転職してみる、などがこれにあたるでしょう。当然ながら「子供がいるから離れてみるとか無理」や「職場替えるって言っても再就職できるかわからないし」といったことが原因で、ストレスの原因から離れるのが難しいも場合もあります。この場合はさらに症状が悪化する可能性もありますので次のステップに進みましょう。

次にカウンセリング。ストレスの原因に対して本人はどのように受け止めているかを考えていくと、その人の受け止め方にパターンがあることが多くみられます。このパターンに対してアプローチしていくのが認知行動療法と呼ばれるカウンセリング方法です。また現在抱えている問題と症状自体に焦点を当てて協同的に解決方法を見出していく問題解決療法もあります。この認知行動療法も問題解決療法も、治療者と治療を受ける人が協同して行っていくものですが、基本的には治療を受ける人自身が主体的に取り組むことが大切です。

そして、心療内科や精神科に相談しに行き、場合によっては薬による治療法も視野に入れると良いでしょう。不安や不眠などに対してはベンゾジアゼピン系の薬、うつ状態に対して抗うつ薬を使うこともあります。ただし適応障害の薬の治療法は「症状に対して薬を使う」という対症療法になり、根本的な治療ではありません。つまり適応障害の治療は薬の治療法だけではうまくいかないことが多いため、環境調整やカウンセリングが重要になっています。

また、薬の副作用によってたくさん寝たりするケースもある。当然ながら家事ができなかったり仕事にならなかったりするケースもある。そんな時に手を差し伸べてあげることも治療の一つだと思います。

5.家族や周囲が気づいた場合の対処法

適応障害の回復において、家族や周囲(職場など)の果たす役割は大きいと考えます。まずは、相談に応じるという姿勢が大切であり、その上で本人が主体的にストレスに適応できるように環境を調整したり、支援したりすることが重要と考えます。ただし、本人の適応力を過小評価して、過剰な同情、支援、配慮をすることは、本人の主体性を奪い、社会的責任を回避させることとなり、現実逃避的な反応を助長してしまいます。過剰な配慮は、かえって症状が強化されてしまい回復を妨げることになるので注意しましょう。できるだけ早期に本人が対応できる適切なレベルまで、サポートやストレスの調整を行うことが重要です。 一方、職場における過重労働、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどの不合理なストレスに対しては、積極的に介入することが患者様にも職場にとっても重要と考えます。

6.適応障害とうつ病との違い

適応障害とうつ病は違うと言われてます。例えば、仕事上の問題がストレスの原因となっている場合、勤務する日は憂うつで不安も強く、緊張して手が震えたり、めまいがしたり、汗をかいたりするかもしれませんが、休みの日には憂うつ気分も少し楽になったり、趣味を楽しむことができる場合もあります。この場合は適応障害と診断されるケースが多いでしょう。しかし、うつ病となるとそうはいかないことがあります。環境が変わっても気分は晴れず、持続的に憂うつ気分は続き、何も楽しめなくなります。これが適応障害とうつ病の違いです。持続的な憂うつ気分、興味・関心の喪失や食欲が低下したり、不眠などが2週間以上続く場合は、うつ病と診断される可能性が高いでしょう。

7.適応障害になった妻の実際の症状および治療

私の妻は、育児が始まりちょうど1歳を過ぎて来た頃にストレスの絶頂を迎えました。子供に対する口調が激しくなったり、常に怒ったような顔をしていたり、仕事でちょっとでも帰りが遅くなるとイライラしたり(社長との会食で帰りが12時近くなった時は、そんな会社辞めちまえ!!と強く言われました)、とある国からミサイルが飛んでくるというニュースを見て泣くほど不安になったりとその症状は日に日に増していきました。

さすがに私も妻もその様子のおかしさに危機感を抱き、いろいろ調べた結果PMSという女性ホルモンのバランスが崩れることによって起きる病気なのではないかという結論を出しました。妻は婦人科に行き、ピルをもらって周期を調整して治療しておりました。数日間は多少効果があったのか不安やイライラする回数もだいぶ減ってきたのですが、そのタイミングで事件が起きました。子供がだいぶ動き回るようになった為、少し今よりも広い家を探しておりました。1ヶ月ほど探してようやくこれだという物件を見つけ、一番手の申し込みを入れあとは審査結果を待つだけという状況だったのですが、何故かその後に見た夫婦が「家賃をあと5万円あげてもいいから一番手にしてよ」とオーナーと管理会社に交渉し私たちの一番手を取り下げられたという考えられないことが起きたのです。それを聞いて、妻は酷く落ち込み、「なんで私ばっかりこんな目に合わなきゃならないの」と世の中に絶望し、最終的には頭を床に打ち付けたり自分で自分を殴ったりと手が付けられないほどに。「生きているのが辛い」という言葉まで飛び出して来ました。少し時間をおいて冷静になった時に、このままでは自分も周りにいる人にも迷惑を掛けると思い、改めて心療内科に行き見てもらうことにしました。その診断結果が適応障害でした。

私の妻は、育児に対して真面目に取り組み、子供のことを真剣に考え、頑張って頑張って頑張った結果、理想と現実のギャップに納得が出来なくて適応障害になってしまいました。うつ状態や不安が押し寄せてくる経験がない方には理解しがたい事ですが、真面目でちゃんとやらなきゃと思う人ほど適度に力を抜くことが難しく、結果自分で自分をどんどんと追い込んでしまうのです。その途中でいくらアドバイスや正論を言ったところでストレスの対象は自分であって自分がもっと頑張れば(本当は頑張っているのだが)とか、周りの人はもっとちゃんとやってるから私もちゃんとやらなきゃ(ちゃんとやっているのだが)とか、自分を褒めずダメなところばっかりを見てしまうのです。

心療内科に行って薬をもらった後は今までの不安や落ち込み・イライラなどが嘘だったみたいになくなりました。モノに当たったりすることもなくなりました。妻も今まで何を考えて落ち込んだりイライラしていたんだろうと思うくらいスッキリして、今では笑顔でいる時間の方が多くなりました。もちろん、まだ数週間の出来事なのでこれから先またうつ状態に戻る可能性もあるかもしれません。薬を飲まなくなったらまた元に戻るかもしれません。それでも、一番大事なのは周りにいる人が理解をしてあげてちゃんと受け入れてあげること。それと、題名にも書きましたが適応障害の相手と真っ向から向き合わないこと!うつ状態になってしまった場合、いくら説得しようが、いくら正論を言おうが響きません。落ち着くまではそっとしておくのが一番です!そこで響かないことに自分自身がイライラしてしまい相手とぶつかってしまうことは絶対によくないです。病気とは真剣に向き合い、相手とは適度な距離感を保ちましょう。必ず、良くなる時が来ると信じて、助け合いながら一緒に進んでいくことが大事だと思います。






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